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そう訳したか

緋色の研究


シャーロック・ホームズシリーズ



シャーロック・ホームズシリーズ最初の作品「緋色の研究」。

内容ももちろんすばらしいですが、今回焦点を当てたのはそのタイトルです。

原題は「A Study in Scarlet」で、これをそのまま使っても充分カッコイイです。

僕は基本的に英語のタイトルや曲名を訳すのはあまり好きではないんですよね(ジミ・ヘンドリックスの「Purple Haze」を「紫のけむり」とかなんかダメですよね)。

でも「緋色の研究」っていうのは相当カッコ良く訳せているのでOKです。

「Study」を「研究」と訳しているのが秀逸ですよね。

「そう訳したか」って感じです。

でも、この「Study」の訳には様々な議論があるらしく、河出書房からは「緋色の習作」というタイトルで出てるらしいです。

「研究」でいいと思うんですけどね(笑)。

実際、作中でもホームズが「緋色の研究」をしてましたし。

少し話が変わりますが、原題を訳すときのサブタイトルも嫌ですね。

例としては、ダニエル・パウターの「Bad Day ~ついてない日の応援歌」とか、The Frayの「How to Save a Life ~こころの処方箋」みたいな感じです。

「内容を説明しちゃったよッ!わかりやすくッ!」って思ってしまいます(笑)。

「作品を実際に鑑賞してみてそのテーマを感じ取ってほしい」という作者の意向もあると思うんですけどね。






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こんなのはじめて

くっちょいん


山下明生 「風の強い日」



小学校高学年の国語で教科書に載っていた「風の強い日」で、主人公の男の子が発したクシャミの音。

小学校の頃のことなので「風の強い日」のストーリー自体はあまり覚えていないんですが、このクシャミの音は強烈な印象で、個人的には「風の強い日」といえばコレっていう感じです。
クシャミの音といえば「ハクション」が一般的で、その他で目にするのはせいぜい「クション」や「クシュン」、「クチュン」などでしょう。
そんななか「くっちょいん」です(笑)。「いん」がスゴイですよね。こんなクシャミはおそらくこれだけでしょう。


コチラによると、岩崎書店 日本の名作童話18「かいぞくオネション」に収録されているそうです。もし手に入ったらストーリーも確認したいと思います。

少し話は変わりますが、たまに女性の方で「くしゅん」とまるでセリフのようにクシャミを口で言う人がいますよね。
そういう人を見るとつい「そんなんでいいんですか?そんなんで鼻のムズムズは解消されるんですか?」と思ってしまいます(笑)。
他の人の目を気にしての行動かもしれませんが、だとしたら「くしゅん」で押さえ込めるというのはスゴイですよね。
僕も公共の場では押さえ込むんですが、無理に押さえ込もうとすると強烈な破裂音が出て逆にうるさく、まわりの人も「今のナゾの音なに?」みたいな感じになってしまいます(笑)。





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船頭さんの涙

「名にし負はばいざ事問はむ宮こ鳥 わが思ふ人はありやなしやと」

とよめりければ舟こぞりて泣きにけり


伊勢物語(九段)東下り 都鳥



僕は小・中・高と国語の授業が好きだったんですが、これは高校の古典の授業で印象に残ったもののひとつ「伊勢物語」の一節です(多くの人が授業で習ったと思います)。

多くの人は都鳥の歌の部分が印象に残っていると思いますが、個人的にはそのあとの「とよめりければ舟こぞりて泣きにけり」が好きです。
この歌は、都から限りなく遠くに来てしまったことを嘆き合っていた男たちが、隅田川で都鳥と呼ばれる鳥を見て都にいる恋人を想って詠んだものです。

訳は次のようになります。

『「お前が都という名をもつなら尋ねよう 都にいる私のいとしい人は元気でいるかどうかと」
と詠んだので、舟の上の人はひとり残らず泣いてしまった。』

ここで注目すべき点は「ひとり残らず」ということで、それはつまり男たちだけでなく船頭さんも泣いてしまったということです。
この船頭さん、実は舟に乗る前に「早く乗れ、日も暮れてしまう」と、無情にも嘆きあう男たちをせかしています。
しかし、そんな船頭さんも都の恋人を想う歌を聞くと泣いてしまう。そのような古典の世界観が非常に好きです(古典の登場人物はことあるごとに歌を詠み、そのたびに泣いている印象があります)。



※この記事を書くにあたってコチラを参考にさせていただきました。


古歌あれこれ 都鳥




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ノウブリ

「ワトスン君、これからさきもし僕が、自分の力を過信したり、事件にたいしてそれ相当の骨折りを惜しんだりするようなことがあったら、ひとこと僕の耳に、『ノウブリ』とささやいてくれたまえ。そうしてくれれば僕は非常にありがたい。」


新潮文庫 シャーロック・ホームズの思い出「黄色い顔」 シャーロック・ホームズ



僕が好きなホームズの短編のひとつ、「黄色い顔」の最後のセリフです。
本によっては『ノーバリー』と表記されているものもあるみたいです。

この話は、ホームズの推理が外れた珍しいケースです。
「黄色い顔」というタイトルが示すように不気味な印象で展開していきますが、最後のどんでん返しで爽やかな印象を残して終わります。
ホームズは事件の犯人を明らかにするときに演出じみたことをすることが多く、その演出の意外性は話を面白くしている要素のひとつですが、この話ではそのかわりにホームズの推理が外れるということで読者を裏切っています。しかし、最後の展開がすばらしいので、ホームズの推理が外れたことさえもプラスイメージになっているような感じです。

本当は奥さんの最後のセリフのあとすべてを書きたかったのですが、長かったのでやめました。また、個人的には話のあとの「―1893年 ストランド誌発表―」というのも含めて好きなんですが、縦書きの漢数字表記が好きなのでやめときました。

改めてこの話が今から100年以上前に作られたとは驚きです。






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